AIに「こんなホームページを作ってほしい」とお願いすれば、デザインや文章、コードまで作ってくれる。ホームページを形にするハードルは、以前に比べて大きく下がりました。
デザインについても、工夫や調整によって、いかにもAIが作ったような画一的な印象を抑えられるようになってきました。専門的な知識がなくても、見た目の整ったホームページを作れる。これは、とても大きな変化だと思います。
ただ、ホームページ制作に携わる立場として、ひとつ立ち止まって考えてほしいことがあります。
「そのホームページは、作った目的を達成できるでしょうか。」
「いい感じにできた」の、その先にあるもの
ひと口にホームページといっても、その役割はさまざまです。
コーポレートサイトであれば、会社の事業や姿勢を伝え、信頼してもらうこと。サービス紹介サイトであれば、その価値を理解してもらい、問い合わせや申し込みにつなげること。求人サイトであれば、仕事内容や働く環境、会社の考え方を伝え、自社に合う人との出会いにつなげること。
誰に、何を伝え、どのような行動を起こしてもらいたいのか。その目的によって、必要な情報も、ページの構成も、見せ方も変わります。
もちろん、見た目は大切です。読みやすさや使いやすさ、事業にふさわしい印象を整えることにも意味があります。ただ、「なんとなくいい感じにできた」だけでは、本当に必要な相手に、伝えたいことが届くとは限りません。
ホームページは、完成させて公開すること自体がゴールではありません。
事業の目的を達成するための道具であり、その目的に合わせて作るもの。
私は、この順番を大切にしたいと考えています。
ホームページづくりには、画面に見えない仕事がある
ホームページ制作に、さまざまな専門家が関わるのは、見た目を整える以外にも多くの仕事があるからです。
まず、お客様の事業や課題を理解し、目的を整理して企画を考えます。どのようなページが必要かを決め、ページ内の情報配置を示すワイヤーフレームを作り、訪問した人が迷わず必要な情報にたどり着けるように導線を設計します。
その設計をもとに、デザイナーが視覚的な表現を考える。カメラマンが、商品やサービス、そこで働く人の魅力が伝わる写真を撮影する。ライターが、伝えたい内容を、読み手に届く言葉にする。そして、コーダーがそれらの素材を、実際に閲覧・操作できるWebサイトへと組み上げていきます。
検索で見つけてもらうためのSEOも、構成や文章を考える段階から意識します。公開前には、スマートフォンでも読みやすいか、リンクや問い合わせフォームが正しく動くかなど、品質の確認も必要です。
さらに、公開して終わりではありません。アクセス解析や問い合わせの状況から、必要な情報が届いているか、期待した行動につながっているかを確かめ、必要に応じて改善を検討することも大切です。
もちろん、すべてのホームページに大人数のチームが必要なわけではありません。規模や目的によって、一人で複数の役割を担うこともあります。
それでも、担当する人数が変わったからといって、こうした仕事の意味がなくなるわけではありません。制作に時間やコストがかかるのは、単に画面を作るだけでなく、その背景にある設計や判断、検証が必要だからです。
AIで作業ができても、判断まで任せきりにはできない
では、これらの工程を、AIを使って一人で行うことはできるのでしょうか。
AIの活用によって、一人で担える作業の範囲は広がっています。構成案を考える、文章のたたき台を作る、デザインを検討する、コードを書く。私自身も、AIを制作に役立てています。
ただし、作業を進められることと、その内容が目的に合っているかを判断できることは、別の話です。
整った文章でも、その会社ならではの魅力が抜けているかもしれません。美しいデザインでも、問い合わせ先が見つけにくいかもしれません。情報が豊富でも、お客様が本当に知りたいことに答えていないかもしれません。
AIが出した案に対して、「これは誰に向けたものか」「この順番で伝わるか」「この表現は事業の実態に合っているか」と問い直す必要があります。
大切なのは、AIが作ったか、人が作ったかではありません。目的に沿って考えられ、必要な人に必要な情報が届くように作られているかどうかです。
AIによって作業を効率化できるからこそ、事業を理解することや、伝え方を考えることに、しっかり時間を使いたいと思っています。
だから、私はヒアリングから始めます
私がホームページ制作で最初に大切にしているのは、お客様のお話をしっかり伺うことです。
なぜ、その事業を始めたのか。商品やサービスのどこにこだわっているのか。どのようなお客様の力になりたいのか。そして、今回のホームページで、何を実現したいのか。
デザインの好みや必要なページ数を確認する前に、まず、その想いと目的を共有したいと考えています。
株式会社 ONE by ONEのホームページ制作でも、最初に代表の佐内さんへインタビューしました。大切にされている「1」へのこだわりや、社名の「ONE by ONE」に込めた想いを伺い、トップページのコンセプトと画像でどう表現するかを考えました。制作中も佐内さんと確認を重ね、その想いが伝わる形へと整えていきました。
「自分の事業の強みを、うまく言葉にできない」という方もいらっしゃると思います。きれいに整理していただく必要はありません。お話を伺いながら、一緒に言葉にし、誰に何を伝えるべきかを考えていく。その対話も、ホームページづくりの大切な工程です。
AIを使うからといって、ここを疎かにはできません。むしろ、誰でも形を作れる時代だからこそ、最も大切にしたい部分です。
ホームページを簡単に作れることと、ホームページが事業の役に立つこと。その間をつなぐのは、お客様の想いを理解し、目的に合う形へと落とし込んでいく仕事だと思っています。
あなたが事業やサービス、商品に込めている想いを、ぜひ聞かせてください。
一緒に、想いが伝わり、目的の達成につながるホームページを作っていきましょう。

