経営理念を考え、言葉にした。これからの事業で大切にしたいことも、少しずつ見えてきた。

では、その理念をホームページでどう伝えればよいでしょうか。

会社紹介のページに、そのまま載せる。代表あいさつの中に書く。それも一つの方法です。ただ、その言葉を初めて読む人に、事業の姿まで思い浮かべてもらえるかは、もう少し考えたいところです。

理念は、日々の経営判断を支え、社員と大切にしたいことを共有する軸になります。そのうえで、お客様や紹介者、これから一緒に働く人へ伝えるときには、言葉を少し補う必要があると私は考えています。

理念の言葉に、日々の行動を添える

例えば、「一人ひとりのお客様を大切にする」という理念があるとします。

経営者には、その言葉に込めた意味があります。事業を始めたころの出来事や、忘れられないお客様の言葉、効率だけでは割り切れなかった判断。いろいろな経験が重なって、その一文になっているかもしれません。

でも、初めてホームページを訪れた人は、その背景を知りません。

「大切にする」という言葉だけでは、どのような接客やサービスを受けられるのか、まだ分からないのです。

そこで伝えたいのが、理念が実際の仕事に表れている場面です。

どんな話を聞いているのか。何を確認してから提案するのか。お客様が迷っているとき、どのように対応するのか。

そうした具体的な行動を添えると、理念の言葉と、その事業の姿がつながってきます。

そのこだわりは、お客様にとって何になるか

説明のために、靴を販売するお店を例に考えてみます。実在するお店の事例ではありません。

「一人ひとりのお客様を大切にする」という想いから、足の大きさだけでなく、普段どれくらい歩くのか、仕事でどのように使うのかを聞いているとします。試し履きでも、見た目だけで選ばず、歩いたときの感覚を確かめてもらう。

その行動が実際にあるなら、ホームページには、こんな説明を添えられます。

普段の歩き方や靴を使う場面を伺い、店内で履き心地を確かめながら、一足を選ぶお手伝いをします。

この言葉なら、初めて訪れる人にも、お店で何をしてもらえるのかが伝わります。靴選びに迷っている人が、相談する場面を想像する手がかりにもなります。

私が制作で大切にしたいのは、こうしたつながりです。

大切にしていることがあり、それが日々の行動に表れ、その行動がお客様の役に立っている。その順番を、お話を伺いながら整理していきたいと思っています。

表現を整えるときも、実際には行っていない対応を付け足すことはできません。まず、普段の仕事にある事実を確かめる。そこから言葉を選ぶことが大切です。

ホームページのどこで伝えるか

整理した内容を、すべて代表あいさつに詰め込む必要はありません。読む人が知りたいことに合わせて、置く場所を考えます。

トップページでは、誰に、どのような価値を届ける事業なのかを短く伝える。先ほどのお店なら、どんな靴選びの相談ができるのかが入口になります。

想いを伝えるページでは、なぜその接客を大切にしているのか、事業を始めた背景や考え方を紹介する。

サービスのページでは、相談から購入までの流れや、対応できることを具体的に示す。

そして、興味を持った人が、来店方法や問い合わせ先へ迷わず進めるようにする。

同じ理念を繰り返し掲げるだけでなく、各ページで必要な情報を伝えることで、想いとサービスの内容がつながるホームページを目指せます。

大切にしていることを、三つの問いから

ご自身のホームページや紹介文を見直すときは、まず一つの理念やこだわりを選んで、次の三つを考えてみてください。

  1. その考え方は、普段の仕事のどんな行動に表れていますか。
  2. その行動は、お客様のどんな困りごとや不安に応えていますか。
  3. 初めて事業を知った人が、そのつながりを確認できる説明はありますか。

立派な文章にまとめる必要はありません。「いつも、こんなことを確認している」「ここだけは省かないようにしている」。そんな仕事の場面から書き出せば十分です。

まだ経営理念を言葉にしていない方も、同じ問いから始められます。事業を始めた理由や、お客様に喜んでもらえたこと、仕事で譲れないこと。その中に、伝えたい想いの手がかりがあるかもしれません。

ホームページをすぐに作る予定がなくても、整理した言葉は、紹介を受けたときの説明や日々の発信にも使えます。

私は、経営者の想いを伺い、その想いが実際の仕事とどうつながっているのかを確かめながら、言葉とページにしていきたいと考えています。

経営者本人がその場にいなくても、大切にしていることと、提供している価値が伝わる。ホームページを、そんな場所に育てていけたらと思っています。